職場にAR/VRを導入するためのヒント

著者: Futurum Research、主席アナリストDaniel Newman

デル提供コンテンツ

このところ、拡張現実(AR)やバーチャルリアリティ(VR)のアプリケーションが注目を集めています。既に、AR/VRをビジネスに取り入れている企業もあることでしょう。しかし、従業員はこれらの技術を最大限に活用しているでしょうか。そもそも、用意されたAR/VR技術を実際に使っているのでしょうか。

拡張現実は、実在する物や環境に、グラフィック、テキスト、音声などを重ね合わせる技術。一方、バーチャルリアリティ(仮想現実)は、まったく別の仮想的な世界を体験させるための技術です。拡張現実とバーチャルリアリティを職場に取り入れることで、従業員トレーニングの最適化、迅速な意思決定、職場全体での連携が可能になります。

「2020年までに、ARとVR、さらにこれら2つの組み合わせが職場に広く浸透する」と確信しているのは私だけではありません。問題は、あなたの会社も例外ではないということです。

モバイルを利用して、現実世界にバーチャルリアリティを取り入れる

1年以上前、職場を大きく変える拡張現実の可能性をブログ記事(英語)で紹介した際、Gartnerの主席調査アナリストTuong Huy Nguyen氏の言葉を引用しました。「デジタル機器は人の知覚を高めるので、モバイル環境ではARが特に有用」というものです。その翌年、モバイルARがポケモンGOとしてあれほど多くの人に広まるとは思いもよりませんでした。このアプリは、GoogleグラスやMicrosoft HoloLensが未だ果たせていない目標 – AR技術の普及 – を見事達成したのです。

ポケモンGOは、一般的なモバイルデバイスを使って誰でもARを体験できるアプリの成功例といえます。拡張現実を体験するために必要なのはスマートフォンだけ。この手軽さもあって、ポケモンGOは広く人気を集めました。  ポケモンGOのプレイヤーは、特別なヘッドセットやグラスを購入して、装着する必要がありません。ほぼすべての年代の人が安心して楽しむことができます。アプリ開発会社Nianticは、AR/VR技術を親しみやすく魅力的なメディアとしてパッケージングすることで、現実世界のユーザーとのギャップを埋めました。

企業も同じです。多額の資金や導入コストを投じなくても、AR/VRアプリケーションを職場に取り入れることができるはずです。まずモバイルアプリでAR/VRを利用し、慣れない技術に対する従業員の不安を取り除くことで、その後の導入がスムーズになります。

「個人所有デバイスの業務利用」ポリシーを定めている企業も、従業員にスマートフォンを支給している企業も、社内トレーニング、設計、コラボレーション、ユーザーの利便性向上など、さまざまな目的で仮想技術を利用する機会があります。AR/VRは、ハイテク企業や、新製品に敏感な一部のユーザーだけのものではありません。スマートフォンアプリを日常的に使うすべてのユーザーのものなのです。VR/ARの導入を検討しているのであれば、これらのモバイルアプリで「何ができるのか」を従業員に示してください。皆、きっと気に入るはずです。

ゲーム感覚でAR/VRを利用する

ゲームの手法を取り入れると、AR/VRの壁が低くなります。既に多くのブランドが、モバイルアプリやモバイル製品をゲーム化することのメリットに気付いており、ユーザーエンゲージメントやブランドロイヤルティの向上に役立てています(こちらの記事(英語)を参照)。 企業も同じ方法で、従業員の士気と満足度を高め、毎日の仕事にやりがいを感じられる職場環境を整えることができます。

たとえば、従業員の実際の行動や実在するモノに反応して得点が加算されるなど、ゲーム要素を取り入れたモバイルARシステムを作成し、成績優秀者はすぐに報酬が得られるようにします。あるいは、成績に応じてポイントを与え、あとでギフトカードや有給休暇と交換できるようにする方法もあります。セールスや顧客サービスのトレーニングでは、ARを使って実際と同じ状況を作り、正しい回答や行動を選択したとき報酬を与えるシステムなどが考えられます。

AR/VRアプリケーションのトレーニングに重点を置く

AR/VRアプリをスムーズに導入するにはトレーニングが重要です。必要であれば、ITチームに新しいスタッフを入れ、新しいAR/VR技術の仕組み、日常業務での使用方法、そのメリットを従業員に説明してください。

デルがグローバル規模で実施した「将来の労働力調査」によると、ミレニアル世代の77 %が「仕事でARやVRを使ってみたい」と答えています。とはいえ、新しいアプリに馴染みがないかもしれませんし、自分の業務あるいは会社全体にどのようなメリットがあるのか、よくわからないかもしれません。また、もっと上の世代の従業員は、AR/VR技術の導入をあまり歓迎しない可能性があります。ベビーブーム世代のうち、「AR/VR製品を仕事で使ってみたい」と答えた従業員は47 %にすぎません。彼らの考えを変えることができるのは、適切なトレーニングです。

VR/VR技術に関するトレーニングを必要なときいつでも(リアルタイムで)受講できることを従業員に知らせ、広く受け入れてもらえるようにしましょう。一部の企業は、多くの従業員にトレーニングを受けてもらうため、トレーニングセッションを有給にしたり、時間を自由に選べるようにするなど、さまざまな工夫をしています。

最新のVR/AR技術を手頃な価格で入手できるようになり(こちらの記事(英語)を参照)、普及が進むと、Oculus Riftヘッドセット、Microsoft HoloLens、Google Earth VR、IDEALENS、全方位カメラなど、より高度な製品を導入する企業も増えるでしょう。これらの技術は、トレーニング、デモ、ツアー、従業員のコミュニケーション、プロトタイプの開発などで役立ちます。今後、どのような形でAR/VRを取り入れるにしても、早い時期に、従業員の都合に合わせてトレーニングを何度も実施し、新しいAR/VR技術を最大限活用できるようにすることが大切です。

全員が共通の認識を持つ

AR/VRを社内に導入するには、「目的達成の手段として最新技術を利用する」という職場文化を形成する必要があります。ここでいう目的とは、会社全体の業績を向上させると同時に、個々の従業員の成功を支援することです。非常に多くの企業が「人為的な問題を解決するために技術を投入している」とのことですが、内外のすべての課題にとりあえず最新技術で対処するのではなく、AR/VRによって職場がどのように改善されるのかを分析し、思考プロセスを従業員に説明してください。AR/VRを「なぜ」使用するのか、それは「どのように」機能するのか、会社と従業員にどのようなメリットがあるのかを明確にする必要があります。同じ認識を共有することで従業員の理解が得られ、積極的に協力してもらえるようになります。

拡張現実、バーチャルリアリティ、複合現実についての知識が深まるにつれ、業務向上に役立つ画期的な方法がいくつも見つかることでしょう。ただし、従業員のことを忘れないでください。従業員の疑問や懸念に耳を傾け、十分な時間と予算を投じて最適なトレーニングを実施してください。導入の一助として、モバイルデバイス用のAR/VRアプリやゲームを開発するのもよいでしょう。AR/VR製品を使用するときは、自社の強みと弱みを分析し、新しい技術目標へ向けた進捗を見極めることが大切です。

拡張現実とバーチャルリアリティを職場に導入するのは、決して容易ではありません。時間と労力を要します。しかし間違いなく、それだけの価値があります。競合会社は既に動き始めています。この大きなチャンスを逃さないでください。