持続可能性: 自己満足を超えて

持続可能性について考える必要がある本当の理由

環境に配慮する、継続可能性を重要視するということ。

著者: Jeff Clarke
(デルオペレーション部門副会長兼クライアントソリューションズ部門プレジデント)

「持続可能性」と「イノベーション」という言葉の組み合わせは、広い意味を持つマーケティング用語で、あまりに多く使われてきたため、ほとんど意味を失ってしまっています。さまざまな場面で経営者たちが、持続可能性はビジネスと環境にとってきわめて重要なので、あらゆる分野のあらゆる企業が「持続可能性に向けた取り組みのイノベーション」や「持続可能なイノベーションの実現」に努力しなければならないなどと語っています。そのようなあいまいな決まり文句を聞くたびに、私は「これはいったいどういう意味なのか?」と思うのです。言っている本人は分かっているのでしょうか?おそらく分かっていないと思います。

私自身はよかれあしかれ、ビジネス中心に考える現実主義者です。バスワードや決まり文句では考えません。私が考えるのは、お客様にビジネス上の成果をもたらすことです。

持続可能性はすべての企業が考慮すべきです。しかしそれは、そうするのが環境のために正しいからではありません。製品名に「グリーン」という単語を入れて、革新的なのだと世間に向けて宣伝しても、何の意味もありません。われわれにできるのは、製品、プロセス、およびモデルを、実証済みの持続可能な方法に基づいて再検討することで、結果的にビジネスを変革することです。持続可能性には、創造的なビジネスのやり方に関するヒントがたくさん隠されています。マーケティングの人たちはそういうことは言いませんが。

具体的な例を1つ挙げましょう。テクノロジー業界では、廃棄物が全体的な問題になっています。デルは、最大手のエレクトロニクス企業の1つとして、廃棄物を減らし、利益を増やし、お客様により多くの価値を提供する方法を常に探し続けてきました。その過程で、当社のプロセスを詳細に検討した結果、余剰の炭素繊維とスクラップ原材料が、当社の費用を節約して二酸化炭素排出量を減らし、それによって最終的に当社のお客様の排出量も減らしていくために有効な分野であるという結論に至りました。

当社はサプライヤーのSABICと協力して、2015年後半から新規に生産されるデル製品に関して、余剰の炭素繊維とスクラップ原材料のリサイクルを行っていくことを決めました。当社のLatitudeおよびAlienware製品に、リサイクルされた炭素繊維が使用されます。2016年にはこれら2つの製品ライン全体に使用を広げていく計画です。このリサイクルによって、100万ポンド近い炭素繊維が埋め立て地に廃棄されるのを防ぐことができます。

これが当社の利益にどの程度影響するかはまだ分かりませんが、私は楽観的に見ています。2014年1月にリサイクルされたプラスチックを製品に使用し始めてから、当社は34の製品に420万ポンドのプラスチックをリサイクルしてきました。これには、新しいフラットパネルモニタモデルや3機種のDell OptiPlexデスクトップが含まれています。

マクロレベルでは、このような取り組みによって当社は「循環型経済を推進している」のだとマーケティング担当者なら言うかもしれません。私に言わせれば、当社は経済性のために廃棄物を減らし、天然資源への依存度を下げているのです。この切り替えによって生成される付加価値は、1兆ドルに上ると予想されています。

経済性を改善し、利益を増やすために、企業は持続可能性への取り組みにもっと指導性を発揮し、責任を負うべきです。単に良心を満足させるだけではいけません。いくつかの企業は既に正しい取り組みを行っています。すなわち、サプライチェーンや研究開発の全体を通じて持続可能性を考慮し、顧客に環境に優しい行動を呼びかけることすらしています。

その1つの例がフィリップスです。ニューヨーク・タイムズによると、各国政府が白熱電球の製造を法律で規制し始めたのに応じて、フィリップスは従来の電球よりも発熱が少なく、エネルギー消費が大幅に減少した電球のシリーズを販売し始めただけでなく、ムード照明という新しい分野で先陣を切りました。フィリップスのgoLITE BLUは、青色LEDのパネルを利用して、冬季鬱病とも呼ばれる人のエネルギーの落ち込みを改善します。青い光は、人の目の光受容器を刺激して、メラトニンの産生を減らし、眠気が生じるのを防ぎます。寝る時間になったら、照明から出る青い光の量を減らすことができます。

フィリップスは、欧州でのHealWellというパイロットプログラムを通じて、このテクノロジーの病院での利用を実験しています。時間帯に応じて色を変えることで、患者が目覚めやすくなったり、よりリラックスしたり、寝付きやすくなったりする効果があるそうです。オランダのマーストリヒト大学医療センターでの現場研究では、心臓病の患者の睡眠時間が延び、抑鬱状態に陥ることが少なくなったと、ニューヨーク・タイムズは報じています。

フィリップスはまた、農家向けのスマート照明システムも開発しています。オランダやカナダでトマトなどの野菜を栽培している農家が、フィリップスのLEDを使用して、収量を増やし、果実の成長を促進し、野菜の成熟時間を短縮すると同時に、エネルギーコストを節約しています。

フィリップスは、最初に持続可能性について考えざるを得なかった機会に、創造性を発揮し、最先端の製品を生み出しました。以後、多くのスタートアップ企業や大企業が、フィリップスにならって、独自の適応型LED照明の生産を始めました。このイノベーションのビジネス上の潜在的価値が認識されたからです。

これは強調しすぎることはないのですが、企業は長期的な考え方をしなければなりません。単に製品名の後ろに「グリーン認証取得」と付けて、「改良された」と宣伝するだけでは不十分です。マーケティング的な言い方をすれば、「持続可能性への取り組みに関するイノベーション」を行うのは、より良い製品を作り出すためであって、単に「それが正しいから」ではないのです。

デルの環境に配慮した製品設計の詳細については、次のサイトをご覧ください。