職場におけるAR/VRの活用

著者: Futurum Research、主席アナリストDaniel Newman

提供: デル

バーチャルリアリティ(VR)に不可能はありません。ポケモンを現実世界へ連れ出したNiantic社のように、以前は考えられなかったアイディアを実現できるようになりました。拡張現実(AR)とVRのビジネス利用には無限の可能性があります。エンジニアの努力により、AR/VRの設計と有用性は日々進化しているのです。私は技術アナリスト(技術マニア)として長年過ごしてきましたが、ARとVRの職場利用ほど、技術の可能性に胸が躍ったことはありません。

未来へ向けたスマートな職場を実現

デルがグローバル規模で実施した「将来の労働力調査」のデータによると、ミレニアル世代は近い将来、スマートオフィスで働くことを期待しています。現在の職場は十分なデジタル接続環境が整っておらず、「スマート」ではないため、生産性、従業員どうしの連携、作業効率が妨げられていると感じています。「仕事でAR/VRをぜひ使いたい」と答えた従業員は、ベビーブーム世代では47 %なのに対し、ミレニアル世代では77%に達しています。開発途上国でも、専門職に就いている多くの人(正確には87 %)がAR/VR製品を使いたいと思っています。

職場の生産性に関して言えば、ミレニアル世代の52 %が、「拡張現実とバーチャルリアリティの活用は生産性向上に役立つ」と感じているのに対し、ベビーブーム世代では35 %にとどまっています。「AR/VRは職場の生産性を高める」と答えた従業員が最も多かったのはブラジル(74 %)で、その次が中国(69 %)でした。一方、インドでは、「AR/VRを導入すると職場の生産性がかえって低下するのではないか」と懸念する声(22 %)が目立ちました。

AR/VR技術に対するグローバル企業の見方はさまざまですが、1つ確かなのは、どの企業も職場のAR/VR投資から見返りを得ているということです。次のように、多くの業界の市場リーダーが、AR/VRツールを活用して良好なROIを実現しています。

  • 従業員によるハンズフリーデータへのアクセスを容易にする
  • 没入型のトレーニングや教育体験を設計する
  • チームワークや連携を強化する(社内の従業員とリモートスタッフの両方)
  • ゲーム要素を取り入れ、タスクを完了した従業員に報酬を与える
  • VRを利用し、修理や建設を事前に視覚化する
  • 新製品を仮想的に組み立ててテストする
  • 車を仮想的に試乗できるようにする

 
バーチャルリアリティ、拡張現実、複合現実は、企業とユーザーの両方にメリットをもたらします。「リアルタイムで動的に連携してプロジェクトを進める」、「消費者が自宅でくつろぎながら、仮想小売店で買い物を楽しめるようにする」など、創造力を自由に働かせてAR/VRを利用することができます。

現在のバーチャルリアリティイノベーション

技術の進歩と共にAR/VRへの評価が高まり、どの業界も、スマートフォンとVRヘッドセットを使ってバーチャルリアリティを実現する画期的な方法を考え出しています。医療、建設、自動車、航空宇宙、不動産、エンターテインメント、観光、小売など、AR/VRで職場を変革し始めている業界は多岐に渡ります。AR/VRを導入して職場環境を改善し、顧客満足度を高めている企業の事例をご紹介しましょう。詳しくはこちらの記事(英語)をご覧ください。

  • 物件ツアー。不動産会社が物件の仮想ツアーを導入すれば、顧客を現地へ案内する必要がなくなり、送迎費用を削減できます。多くの時間をとられるオープンハウスを催す必要もありません。顧客は、不動産会社のオフィスにいながら、いくつもの住宅物件や商用物件を数分で見て回ることができます。また、時間を気にせずゆっくり検討し、気に入った物件を何度でも訪問できます。複数の顧客が物件のプライベートツアーを同時に楽しむことも可能です。
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  • 制約のない設計。建設業界は、設計段階と建築段階にVRを取り入れています。VRを使って3D模型を作成することで、実際に着工する前に建物の外観や雰囲気を確認することができます。時間と費用をかけて複雑な物理的モデルを作成する必要がありません。
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  • 車の仮想試乗。新型フォードGTの試乗は2017年から。消費者の気持ちをよくわかっているカーディーラーのおかげで、それまで待つ必要はないかもしれません。多くのディーラーがVRを取り入れ、発売前に新車を試乗できるようにしています。VR/ARは、自動車をはじめさまざまな業界で、「お試し」を可能にする技術として活用されています。VRを使用すれば、多くの時間やリソースを費やすことなく、実際と同じ体験を顧客に提供できます。
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  • データを体系化。データを扱うビジネス分野では、体系化が鍵となります。複合現実(MR)ルームを設け、スクリーンインターフェイスに手を触れてデータを操作できるようにしましょう。その余裕がない場合は、AR/VRヘッドセットを使ってグラフや画像を取り込み、データを操作する方法もあります。AR/VRと社内のデータを統合することで、コラボレーションが向上して、無駄な時間がなくなり、従業員に没入感を与えることができます。もちろん、用紙や印刷コストの削減というメリットもあります。
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  • VRで資金調達。以前、資金集めを目的とするアムネスティインターナショナルのVRキャンペーンについてお話ししましたが、この画期的な戦略をもう一度ご紹介したいと思います(詳しくはこちらの記事(英語)を参照)。遠く離れた国で起きている問題に関心を持ってもらうため、アムネスティはVRパイロットを使い、リアルな画像を通してシリアの惨状を人々に訴えました。これらの画像は多くの人の感情を強く揺さぶり、寄付金の増加につながりました。
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  • リスクを冒さずに新しい手術法を習得。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)は、2015年からOculus Riftヘッドセットを用いたバーチャルリアリティを導入し、新しい手術法の指導に役立てています(こちらの記事(英語)を参照)。これは、SNAPと呼ばれる装置を使い、実際の脳をスキャンした画像をVR環境で視覚化しようというものです。学生は、患者を生命の危険にさらしたり、手術時間を無駄にしたりすることなく、バーチャル脳を使って手術を体験できます。また外科医は、難しい手術の手順をVR環境で事前に確認し、精度を高めることができます。
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  • 人生を変える。医療分野での活用例は手術だけではありません。不安の疑似体験療法、脳卒中患者や身体まひ患者のリハビリ、心的外傷後ストレス障害の治療、疼痛管理など、他にもさまざまな目的で仮想技術が利用されています。中でも私が気に入っているのは、Expediaとセントジュード小児研究病院が協力し、末期症状の子供たちに夢のVRアドベンチャー体験をプレゼントした事例です(こちらの記事(英語)を参照)。VRは、文字どおり人生を変えるのです。

 
AR/VRには、職場を合理化し、教育やトレーニングを最適化し、人々と大切なものをつなぐ力があります。エンジニアリングや設計から、ゲーム、エンターテインメントに至るまで、拡張現実とバーチャルリアリティはビジネスの世界を席巻しつつあります。従事している業界でのAR/VR利用について、できる限り学習してください。そして、競合他社より早く、これらの技術を取り入ることをおすすめします。